検索結果表示画面で一番見られている場所はスニペット~2010年7月 アイトラッキング調査

先日、消費者への効果的なコミュニケーションを実現するためにアイトラッキング調査に基づいたデザインセミナーを開催しました。検索エンジンユーザの行動を把握して、細部にわたって計画を立てることは、とても重要です。

「検索結果表示画面から、どうやってサイトを開かせるか?」

2010年7月、スペイン バルセロナの大学で行われた調査は、SEO的にも、ウェブマーケティング的にも非常に興味深いのでご紹介します。
是非、考えるヒントにしていただきたいと思います。

今回の調査は、検索結果表示画面で一番見られている場所はどこか?について調査したもの。

これまで、検索結果表示画面に関する調査はいくつかは実施されてきたが、検索動機別に、検索という行為の中で、ユーザの視線がどのように遷移するか、どこを凝視するかについての調査は、これが初めて。

出典/information sorce
Mari Carmen Marcos @mcmarcos and Cristina González Caro at Pompeu Fabra University in Barcelona and published July 2010 by magazine El profesional de la Información (copyright owners).

調査の仕様

検索結果表示画面のアイトラッキング調査では、Google、 Google Images、Yahoo!、Yahoo! Images を使い、調査対象者に検索課題を与え、目の動きを測定しました。
タイトル、スニペット、URL、画像という4つの測定エリアでどこを凝視するか、凝視の時間(ミリセカンド)を調べた。

検索課題の数

合計 22問
情報検索タイプ 10問、サイト検索タイプ 3問、取引・購買タイプ 4問、画像検索タイプ 5問

調査対象者

合計 58人 普段検索エンジンを使う人
年齢 18 ~ 55 歳(内 80%は 20~30歳)
25 男 (43%), 33 女 (57%)

検索動機の4タイプ

調査に使う課題は、検索エンジンユーザの検索動機によって4つのタイプに分類されました。
情報検索タイプ(informational)、サイト検索タイプ(navigational)、取引・購買タイプ(transactional)、画像検索タイプ(multimedia)。
一人当たり合計22問の課題を与え、グループ調査ではなく、個別に30分間の調査を実施した。

informational(情報検索タイプ)

病院の電話番号や都市の気温、歌手の略歴など何某かの情報を探しているタイプ。
設問:パリのルーブル美術館のスケジュールは?
検索:ルーブル 時間

navigational(サイト検索タイプ)

進学すべきだ医学のホームページや、面接試験を受ける会社のホームページ、購読したい新聞のサイトなど、特定のサイトを探しているタイプ。
設問:スペイン国営放送のオフィシャルサイトを探す。
検索:スペイン 放送局

transactional(取引・購買タイプ)

ソフトウェアのダウンロードや飛行機チケット、証明書発行など行動を起こすことが目的のタイプ。
設問:バルセロナのダウンタウンにあるレストランのテーブルを予約できるサイト
検索:バルセロナ レストラン

multimedia(画像検索タイプ)

写真や動画を探すタイプ
設問:アルハンブラの夕日の写真を探す
検索:アルハンブラの夕日

オーガニック検索とスポンサード広告について

調査中の全ての検索結果表示の内、スポンサード広告は39%しか表示されなかった。

情報検索タイプ 36%、サイト検索タイプ 43%、取引・購買タイプ 76%、画像検索タイプ 0%

検索動機ごとの傾向

検索動機ごとにまとめてみると、以下のようになる。

情報検索タイプ

スニペットの凝視回数、凝視時間の数値が一番高く、次いで、タイトル、URLの順。検索結果表示画面からサイトを開くか否か、つまり、自分が探している情報を掲載しているサイトかどうかは、スニペット部分、次いでタイトル部分が判断を左右すると言える。

サイト検索タイプ

概ね情報検索タイプと同じ傾向を示しているものの、スポンサー広告の凝視回数が5%で、情報検索タイプのスポンサー広告凝視回数(2.8%)の約2倍。

取引・購買タイプ

オーガニック検索が82%と一番多いが、スポンサー広告への興味・関心も17%と高くなっている。
スポンサー広告は、9.8%と、情報検索、サイト検索のどちらよりもはるかに高い数値となっている。

スポンサー広告の場合、画面最上部のエリア(79%)のほうが、右カラム(21%)より多く凝視されている。
スポンサー広告で凝視時間が長い順に、タイトル(43%)、URL(29%)、スニペット(28%)の順。

画像検索タイプ

凝視回数、凝視時間とも、画像部分が一番多く、一番上の列に対する注目が一番高い。

調査のまとめ

今回の調査結果で、検索結果表示画面ではユーザの検索動機によって行動が異なることが数値的に明らかになった。

情報や特定のサイトを検索している場合、オーガニック検索に対して視線が集中する傾向にあり、検索動機が取引・購買である場合には、スポンサー広告への注目度も高まる。

情報検索、サイト検索、取引・購買、いずれの目的でも、検索結果表示画面で一番見られている要素はスニペットであり、次いでタイトルであることがわかった。

検索結果表示画面でサイトを開くか否かを決めるのは、スニペットが大きな役割を果たしていると言える。

取引・購買以外の動機の場合、スポンサー広告に対する興味は低い。

出典
User behavior in SERPs. Eye tracking study July 2010

2010/09/22 17:55